けいとの日常

映画やアニメについてボヤきます!

腹痛で目覚めました

銀河鉄道の夜

宮沢賢治

 

一、午後の授業

 

「では皆さんは、そいうふうに川だと言われたり

乳の流れたあとだと言われたりしていた

このボンヤリと白いものが本当はな何かご承知ですか。」

 

先生は黒板に吊るした大きな黒い星座の図の

上から下へ白くけぶった銀河帯のような所を指さしながら

みんなに問いかけました。

 

カムパネルラが手をあげました。

それから45人が手をあげました。

 

ジョバンニも手をあげようとして

急いでそのままやめました。

 

たしかにあれがみんな星だと

いつか雑誌で読んだのでしたが

 

この頃はジョバンニはまるで毎日教室でも眠く

本を読む暇も、読む本もないので

何だかどんな事もよく分からないという気持ちがするのでした。

 

ところが先生は早くもそれを見つけたのでした。

 

「ジョバンニさん。

あなたは分かっているのでしょう。」

 

ジョバンニは勢いよく立ち上がりましたが

立ってみるともうハッキリそれを答えることができないのでした。

 

ザネリが前の席から振り返って

ジョバンニを見てクスッと笑いました。

ジョバンニはもうドギマギして真っ赤になってしまいました。

 

先生がまた言いました。

 

「大きな望遠鏡で銀河をよく調べると銀河は大体何でしょう。」

 

やっぱり星だとジョバンニは思いましたが

今度もすぐに答えることが出来ませんでした。

 

先生はしばらく困った様でしたが

眼をカムパネルラに向けて

「ではカムパネルラさん。」と名指しました。

 

するとあんなに元気に手をあげたカムパネルラが

やはりモジモジ立ち上がったまま答えが出来ませんでした。

 

先生は意外なように

しばらくじっとカムパネルラを見ていましたが

急いで「では、よし。」と言いながら

自分で図星を指しました。

 

「このボンヤリと白い銀河を大きないい望遠鏡で見ますと

もうたくさんの小さな星に見えるのです。

ジョバンニさんそうでしょう。」